サブスタンス観ました

シネコンではとっくに終映してますが、ミニシアター系の映画館で掛けてくれたので行ってきました。
めちゃくちゃ良かったです…。以下ネタバレあり感想です。

観たいと思ったホラーはなるべく映画館で観ることにしてるんですが、これも映画館で観て良かったなと思った映画でした。精神的&肉体的に中々な痛さだった(なので配信等だと途中で観るのやめちゃうかもしれない)のと、聴覚的な効果を存分に満喫できたので。

すごく強烈な作品だし何から言ったらいいのか…という感じですが、とにかく思ってた以上に痛かったです。よく肉体が裂けるしスーがエリザベスをタコ殴りするとことかモンストロエリザベスーの悲惨さとか、安定剤を抜きすぎて膿んだ傷口はきつかった。でもそれらと精神面に来る痛さが完全にリンクしてるのがすっごいな~と思いました。
この作品の容赦なさとして、クライマックスの血みどろシーンがよく挙げられてる気がするのですが、それよりもそこまでの過程の方が断然容赦ない気がします。エリザベスとスーは自己嫌悪の表象ですが、エイジズムやルッキズムの文脈で自分を見下したり痛めつける感覚が、映画の中の痛いシーンでめちゃめちゃリアルに表現されててつらい~悲しい~~ってなってました。
だからこそ観終わってから、スーが誕生した時にエリザベスの肉体を労わってたシーンとか、スーを殺し切れなかったエリザベスとかを思い出すと切ないです。そういう行ったり来たりする感情もあるよね…。

なので、クライマックスの血みどろシーンはむしろ全然物足りないくらいで、傷ついてんのエリザベスーだけじゃん!みんな怖かった&血を浴びただけで全然傷負ってないじゃん!もっとやったれ!!くらいの気持ちでずっと悲しい気持ちで涙ぐんで観てました。ラストも救いとしては悲しすぎるし、悲しい映画だったなぁと思いながら映画館を後にしました。エンパワーメントされる類いの映画ではなく本当に純然たるホラー映画でしたが、本当に観て良かった上映ありがとう…!の気持ちです。でももう一回観るのはきついだろうな…。

たぶんこの映画は私が女性かつ今の年齢・状況だから刺さったような気がします。今の年齢の視点から見た(スー的な)若い時のあの無知で無鉄砲で無茶な感じもわかるし、エリザベスの気持ちもわかるし。単なるキャットファイトコメディホラーじゃなく構造に責任があるというメッセージが明確に全面に出てるのは本当に安心して観れました。監督インタビューでもそう言ってますしね。

あ、それとほんとにセリフの少ない映画だったのですが、映像で説明するのがめちゃめちゃ上手いかつスタイリッシュなのがすごく良かったです。センスめっちゃいいな~。
あと女性は人生のどこかで食と不健全な関係を結びがちということを表現した…的なことを監督が言ってましたが、全編通して食が健全に扱われてなくて、めちゃめちゃ食欲の失せる映画だったと思います。ポップコーン片手に映画観てたら食べきれなかったと思う。(食べ物を販売するタイプの映画館じゃないので何も食べてませんでした。良かったです。)

いや~、観た人といろいろ語り合いたくなる映画でした。

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