映画の話

久しぶりに邦画ロードショー映画を映画館で観ました。国宝です。
悪い意味でなんかいろいろ吐き出したくなってしまい記事を書くことにしました。
ネガティブな話が多いのでご注意ください。

いきなり個人的な話なんですが、昔の仕事の関係で歌舞伎にはちょっと馴染みがありまして、そういう興味もあって観ることにしたんですが、演技が!演技が全て本っ当に凄まじかったです。舞踊シーンも(そこまで目が肥えてる訳ではない者の感想ですが)ちょっとやそっとの練習量ではなかったことがよくわかる完成度でした。普段の歌舞伎では絶対にないアングルからの映像もとても興味深く…。
そうそう撮影もすごかったです。上手く言えないんですがものすごく印象に残る画というか。
「めちゃくちゃすごいものを観た!」感はとてもありましたし、3時間があっという間だったのは確かでした。絶賛されるのもわからんでもない。

けど、昭和の梨園を舞台にしてるとはいえ、とにかくマチズモが強すぎて無理だったんですよね。

時代背景それ自体は別にいいんですが、制作側が今現在でそれを一種の美として肯定的な目線で描いてる感じがとにかくキツい。男と男のBIG LOVE(憎悪や嫉妬を含む)は大好物ですが、関係性以前にシンプルに有害な男たちだなとしか思えなかったんですよね。有害でも魅力的なキャラはいますが、魅力も全然感じなくてただただ嫌悪感しかなかった。

登場する女性たちが本当に記号でしかなかったのもキツかったなあ。原作だと掘り下げがあるらしいですが、掘り下げる余裕がないなら登場させなきゃ良かったのに…とすら思いました。そういう部分の集積が全体にマチズモ肯定を漂わせてる感じがあります。
最後のカメラマン娘さんの言葉→鷺娘で大団円ハッピーエンド感があるのもすごいモヤモヤしました。徹底的に罵倒されてからの鷺娘エンディングだったら最高だったかも。主人公はどちらにしても幸せだったんじゃない?って思うし。

話の筋とかテーマとしては昭和元禄落語心中とよく似てるんですが、あちらは八代目が自分が失ったものや捨ててきたものに対して(その時代背景としては)自覚的で申し訳なさを抱いてて、有害さがきちんと有害さとして描写されてると感じられたんですが、国宝にはそれが全然感じられなくてただただ後味が悪かった…芸術という大義名分のために加害を正当化することを否定しない話を今の映画でやっちゃうのか…と、某監督の事を思い出したり。今の邦画で伝統的芸能を描くならその辺は尚更考慮すべきなのでは…。

そういうわけで、映画作品としては豪華で贅沢かもしれないけど、個人的には全然好きじゃない映画でした…。ネガティブな話ばかりで申し訳ないですが、歌舞伎界側やレビューも絶賛の嵐すぎてしんどくてつらつら長々と書いてしまいました。

反動なのか、サブスタンスがスケジュール合わな過ぎて観れなかったのがいま猛烈に悔やまれています。めっちゃ私向きな映画だと思うけど、もしいずれ配信来たとしても停止押さずに観れる自信がないんだよ~。グロは全然ダメではないけど別に好きでもないんで…。(ホラーとかグロはなるべく映画館で観るようにしてる理由です)
国宝じゃなくてサブスタンス観たかったです…ほんとに。

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